レンタカー事業者に必要な付加価値経営|サステナブル経営とは

日本のレンタカーは経営の非効率性と深刻な人材不足により、年々窓口スタッフが減り、構造的な赤字体質から脱皮できなくなっています。レンタカーとは知名度を得るための表向きの赤字サイドビジネスであり広告費として認識され、本業として稼いでいるのは不動産業、中古車売買、事故代車のレンタル、車両整備というのが実態です。
TANAAKKレンタカーは第一に、レンタカーというビジネス自体で黒字運営することにより事業者、社員にとって良いレンタカー会社、そして、同時にお客様がこれが欲しかったと思えるレンタカーサービスを作ることで事業者とユーザーがどちらも便益を享受することのできる、やってて良かったと思えるサステナブルな法人格を再設計しています。
1916年にアメリカで事業として始まり、日本国内では1949年に貸自動車業(ドライブクラブ)が自家用自動車有償貸渡業(レンタカー)の始まりとなりましたが、TANAAKKレンタカーはレンタカー100年の歴史を全てゼロベースから考え直し、駐車場・車両インフラを都市の計算リソースと考えて、各ローカルエリアに応じた需要と供給のマッチング数理モデルを設計しています。
特に日本のレンタカー事業者はレンタカー単体だと赤字経営をしており、廉価販売の価格競争に歯止めが掛からなくなっている。
・ユーザーの需要とシステムが一致していない(清潔な車両、前の利用者のゴミが残っていないというのは利用の最低条件)
・コスト構造が古いので車種選択の自由がない。(中古車売買による収益をあてにしてレンタカーはサイドビジネスなので中古車取引できる人気新車種を設置するため、高コスト化。)
・人材不足を理由に店舗窓口を開けられない(ユーザーが利用したい時間に店舗が空いていない)
・ピーク料金設定が曖昧である
・稼働率のデータが分析できていない
・車種別料金やどの車種が人気なのかのデータが分析できていない
→ユーザの需要に応えられていないにも関わらず、レンタカー事業者は赤字経営を継続していて、ローン支払い済で長年保有している不動産、建物や貸駐車場運営で生計を立てている。昨今の上場市場のアクティビストの活性化により、保有不動産の売却等、資本コストに対するマーケットベンチマークを超えるリターンを創出する圧力がかかっているが、保有不動産を売却して駐車場を再賃貸すると、途端に赤字になってしまう現在のレンタカービジネスは根本的な問題を抱えている。
レンタカーはAdd Valueできていない
いわば、先代から相続した土地の価値を毀損しながら時間稼ぎをしているのが、現在のレンタカービジネスの根本的な問題と言えるのである。ほとんどのレンタカー事業者は昔から保有しているローンを支払い切った不動産や建物を原価ゼロとして廉価サービスを提供している。つまり、本来的な、需要に応じた分析を行い、「需給に応じて適切に課金をする」、「顧客のニーズに応じた付加価値をITを組み合わせて提供する」という経営努力を怠っているため、都市の価値が上がらずに全事業者が値下げ競争の顧客奪い合いをしていることで、結果として不動産オーナー、駐車場オーナー、レンタカー事業者、ユーザー、株主など、あらゆるステークホルダーが「全員で一生懸命、損をしてしまう」という負の循環に陥っているのである。
レンタカー事業者には実は安いものを提供するのではなく、付加価値を高めることが求められている。付加価値を生み出すためにはレンタカー事業者が口を揃えて悩みとする以下のような制約条件を外す必要がある。
Elastic Vehicle Grid™=EVGRID
TANAAKKレンタカーではこのことをElastic Vehicle Grid™=EVGRIDと呼称している。(社名はTANAAKK EVGRID株式会社)Elasticとは弾力性の意味で、Vehicleは車両、Gridは網の目の意味で、弾力性のある車両資源の網の目を張るという思想である。
No | ユーザー属性 | ユーザーのニーズ | 事業者の制約条件 | 市場の非効率性 | 制約条件の解除(TANAAKKレンタカー) |
1 | 国内ユーザー | 交通ハブの近くやホテルの近くなど利便性の高いエリアで予約したい | 駐車場が限られているので借りられない | レンタカー事業者が駐車場を借りられないのに、時間貸し駐車場はスカスカに空いている | 配車サービスによる時間貸し駐車場の活用をすることで、土地の制約条件を外すことができる |
2 | 国内ユーザー | 早朝に動き始めて終電まで観光したい | スタッフのシフトを3シフト制にしないといけないので、早朝深夜の対応は難しい | 若年ユーザーのほとんどは早朝、深夜に活動している。つまり、早朝深夜にお金を使いたい人たちがたくさんいる。 | デジタルキー技術、eKYCによりいつでもどこでも快適な旅を始められる |
3 | 国内ユーザー | 窓口に並びたくない | スタッフがいる時間に窓口に来てもらわないと貸渡契約ができない | 同上 | 同上 |
4 | 全ユーザー | 非対面、デジタルキーだとしても、前の利用者のゴミが残っていると気分が下がる | スタッフの人件費をかけることができないので、カーシェアリングではユーザーの善意任せになり全車両の清掃チェックができない | 価格が安かったとしても、前の利用者のカップラーメンのゴミなどが車内に残っているようであれば利用したくない | 全車両、清掃、配車を効率よくこなすことで、ホテルのルームクリーニングのようなホスピタリティを提供 |
5 | 海外ユーザー | 外国から日本に来る前に車両を確保したい | 外国人向けサービスも窓口対応しかできない | 窓口が空いている時間に車を借りるためにスケジュールを調整しないといけない | 宿泊しているホテルの近くでいつでも車が借りられる |
以上のように、新たなニーズに応じたElastic Vehicle Grid™を国内に敷き詰めることにより、ユーザーの需要に寄り添いつつ事業者としての資本収益性も高めることで、結果的に日本全体の都市の価値の向上、土地の価格の向上、従業員の報酬水準の向上など、正の循環を作っていく、ポジティブフィードバックループが、TANAAKKレンタカーが目指しているビジョンである。